ADHDの「始められない」は、怠けではない。
脳の実行機能(開始・計画・切り替え)に関わる神経回路の問題だ。意志の力でなんとかしようとすると、エネルギーだけ消費して結局始められないまま夜になる。
AIを使ったタスク開始プロトコルを紹介する。
なぜ「始められない」のか
ADHDの実行機能障害で起きていること:
- タスクの「はじめの一歩」が見えない — 「レポートを書く」という大きなタスクの、最初の5分で何をすればいいかが具体的にならない
- 完璧性バイアス — 「準備が整ってから始めよう」と思い、準備が永遠に終わらない
- 時間感覚の欠如 — 「あとちょっとでできる」と思っているタスクが、実際には3時間かかることに気づかない
3ステップのAIプロトコル
ステップ1: タスクを「25分版」に分解する
AIへのプロンプト:
以下のタスクを「今日25分だけやるとしたら、最初の具体的なアクションは何か」に変換してください。
完成ではなく「開始できた状態」を目標にしてください。
タスク: [今日やる予定のタスク]
「レポートを書く」→「最初の見出し3つをメモする(25分)」になる。これで脳が「できる気がする」状態に変わる。
ステップ2: 開始トリガーを設定する
25分版タスクができたら、「何をしたらこのタスクを開始するか」のトリガーを決める。
このタスクを始める具体的なトリガーを1つ決めてください。
形式: 「〇〇をしたら、△△を開く」
トリガーは「コーヒーを入れる」「トイレから戻る」など、必ず起きる行動にすること。
例: 「コーヒーを入れたら、すぐにドキュメントを開いて最初の見出しだけ書く」
これがないと、「よし始めるか」という心理的なハードルが毎回発生する。
ステップ3: 「完了の定義」を先に決める
ADHDは「どこまでやれば終わりか」がわからなくなり、延々と作業し続けるか、途中で放棄するかの両極端になりがちだ。
このタスクの「今日の完了条件」を1文で定義してください。
完成ではなく、「今日はここまでやれば十分」という基準。
例: 「見出し3つとそれぞれ2行のメモが書けたら完了」
この定義があると、完了したときに「終わった」と脳が認識できる。
「開始できない日」の最終手段
上記3ステップをやっても体が動かない日がある。うつ状態が重なっているとき、睡眠不足のとき、週末明けのとき。
そういう日のプロンプト:
今日は全くやる気が出ません。
仕事に関連して、5分以内に終わる「ゼロ努力タスク」を1つだけ教えてください。
達成感を少し感じられる程度の小ささで。
「メールを1本読む」「ファイルを正しいフォルダに移動する」レベルのタスクが出てくる。これを1つ完了させると、ドーパミンが少し動いて次に進みやすくなる。
ADHDの開始問題の本質
「始められない」を「意志が弱い」と解釈している限り、解決しない。
脳の問題だから、「脳の外側に構造を作る」しか解決策がない。
AIは「外側の構造」として使える。毎朝「今日の最初の25分でやること」を決めてもらい、開始トリガーを設定してもらい、完了の定義を明確にしてもらう。
意志の力ゼロで、「始められる状態」を作る。
このプロトコルの詳細版(実際のプロンプト全文と使い方)は、noteで公開しています: note.com/th19930828